マグネシウム

Nicholas DemetriadesによるPixabayからの画像

マグネシウムは体内に広く分布し、約60%が骨に存在しています。残りは、筋肉や肝臓、神経、脳などに存在しています。血中には1%存在しています。マグネシウムは、300以上もの酵素反応に関わっています。マグネシウムは、カルシウム、ナトリウム、カリウム、リン、ビタミンCなどとともに多くの代謝に関わる必須ミネラルの一つで生命維持に欠かせません。マグネシウムは、タンパク質の合成、エネルギー代謝、神経伝達、筋肉の収縮、血圧調整、血糖値調整などに補酵素をサポートする形で関与します。

マグネシウムは神経伝達物質であるメラトニンの生成過程でビタミンB6とともに補酵素として働き、反応を助けます。メラトニンは、睡眠を誘導するホルモンとして脳内で分泌されます。神経伝達物質を制御する役割があり、精神を安定させたり、鎮静する作用があります。

メラトニンの生成過程でマグネシウムは補酵素として働く

マグネシウムはカルシウムの濃度を調節する働きがあります。カルシウムが必要以上に細胞内に入り込むのを抑制します。それにより筋肉や血管の収縮を抑え、不整脈や高血圧を防ぎます。カルシウムと同様に血中のマグネシウムが不足すると骨から溶け出し、補充しようとします。

閉経後の女性などに多い骨の病気に骨粗鬆症があります。骨密度が減少し、骨が脆くなるのはカルシウムの欠乏と思われがちですが、実はカルシウムとの相関はあまり大きくなく、マグネシウムやマンガン、銅などそのほかの栄養素の欠乏のほうが影響があります。

マグネシウムは、腎臓で結石ができるのを抑制します。結石の成分は、主にシュウ酸カルシウムですが、マグネシウムはカルシウムが沈着するのを防ぎます。

マグネシウムは、生命源となるATPエネルギーを産生するクエン酸回路を活発に回す上で、多くの酵素的役割を果たすほか、炭水化物の代謝や脂肪代謝に関与します。

多くの代謝に必要なマグネシウムが慢性的に不足すると、うつや幻覚などの神経障害、血液循環が悪くなり頭痛を起こしたり、過度に筋肉が収縮を起こし、こむらがえりや高血圧、脳梗塞や心筋梗塞などを起こします。また、血小板が凝集しやすくなり血栓を作りやすくします。マグネシウム欠乏は、カルシウムを沈着させ、腎臓結石や胆石などにつながります。

マグネシウムは、精製された食品や飲酒、ストレス、薬剤などにより足りなくなります。また、アルコールやカフェインはマグネシウムを排出させてしまいます。糖尿病では、尿糖とともにマグネシウムが尿中に排出されやすくなります。

マグネシウムはインスリンと密接に関係しています。血液中のインスリン濃度が低いと細胞がエネルギーを産生するために必要なマグネシウムが細胞内に入ってこれません。また、マグネシウム濃度が低いとインスリンの働きが悪くなります。インスリン抵抗性になったり、膵臓からインスリンの分泌が減るとマグネシウムを細胞内に留めておけなくなり、糖尿病のリスクは高まります。実際に糖尿病患者のマグネシウム濃度は低い場合が多く、疲れやすく鬱の症状や筋肉が緊張して腰痛、膝痛などを引き起こします。

参考:新・栄養医学ガイドブック (サプリがもたらす健康の回復)柏崎 良子 (著) / 原因がはっきりしない30の症状はミネラルで治る!登坂 正子 (著) / サプリメントで病気になる!サプリメントで病気を治す! ビタミン・ミネラル編―あなたのサプリメント選びは間違っている!八藤 真 (著) / アスリートのための最新栄養学(下)山本義徳 (著) / “メタボリックシンドローム”対策の必須ミネラル マグネシウム健康読本―さまざまな生活習慣病とマグネシウムの密接な関係 横田 邦信 (著)

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