糖質過剰症候群

糖質過剰の弊害

自分で体調不良の改善や病気から回復している人は、糖質制限をしている方が多いように思います。しかし、糖質制限は世間的に認知は高まりましたが、少しその本来の目的からずれたところに着地していると思います。

痩身のためのダイエット方法として広がりを見せ、その目的のために糖質をただ制限すればよいという表面を切り取った方法を真似てしまっているように見えます。その結果、糖質制限を実行した方の中には、体調不良になる人がいることも事実です。

ただ糖質を制限するだけではうまくいかない。

そして、その失敗を理由に糖質制限はよくないと批判されてしまいます。原因は糖質制限ではないのにもかかわらずです。一番タチが悪いのは、科学論文を持ち出してエビデンスを強調して全力で否定してくることです。こういった主張を聞くと一般の人は、やっぱりブレてしまいます。結局、糖質制限をした方がいいのか。しないほうがいいのか。

結論から言えば、糖質制限はとても有効です。なぜなら、現在の多くの病気の原因の一つが、糖質の過剰摂取にあるからです。そして、糖質過剰に加えて、タンパク質の不足、脂肪不足、ビタミンの不足、ミネラルの不足である食事をしています。つまり、現代人は、質的に栄養失調な状況にあり、そのことが多くの慢性疾患を生み出しています。質的な栄養失調とは、健康で生きていくために必要な栄養が足りない状況のことです。この質的な栄養失調を改善しないと病気は治りません。ここでは、その中にある唯一過剰となっている栄養素である糖質の過剰摂取に焦点を合わせたい。

慢性疾患の原因

慢性疾患=糖質過剰+タンパク質不足+脂質不足+ビタミン不足+ミネラル不足
    =質的な栄養失調である状態
    =本来生きていくために必要な栄養が足りない

ガンや糖尿病、潰瘍性大腸炎、高血圧、アトピー性皮膚炎、全身性エリテマトーデス、関節炎、慢性リウマチ、骨粗鬆症、認知症、パーキンソン病、うつ、統合失調症、甲状腺機能障害、不妊など現在、名前のつく病気はたくさんあります。

多くの方は、こういった一つ一つの病気それぞれに対応した個別の原因があると思っています。しかしながら、実際には違います。こういった病気を引き起こす主な原因は一緒です。原因は同じで、個人で代謝の弱い組織や臓器や部位などに病気が現れているに過ぎません。代謝というのは、個人によって違います。つまり、人によって胃が強い人もいれば、弱い人もいます。心肺機能が優れた人もいれば、そうでない人もいる。そういった個体差が大きく、個人で弱い部位から代謝が滞り、正常な機能が保たれなくなって症状となって現れるのです。

それでは、その正常な体の機能を壊す原因とは何か。それが上記に述べた質的な栄養失調です。その中で唯一過剰に摂りすぎているものが糖質です。糖質過剰というのは、上記にあげた病名を含め、さまざまな疾患を引き起こします。つまり、どれか一つの病気だけでなく、いくつかの病気を複数抱えている人が多いのも、突き詰めれば根本原因が一つだからに他なりません。アトピーを抱えている人が鬱や糖尿病を抱えていたり、花粉症もあり関節炎もあるといった具合です。

体が糖質だらけになると様々な病気を引き起こす

脳は糖質のエネルギーになるから必要だとか。食事指導でエネルギーの6割は糖質から摂らないといけないとか。それは常識かもしれません。しかしながら、その常識が正しいとは限りません。今では、脳は糖質だけでなく、ケトン体もエネルギーにすることがわかっています。ケトン体とは脂肪由来のエネルギー源です。いったい常識というものはどういう風に出来上がるのか。それはわかりませんが、一つ言えることは、その常識全てを信じて従う限り、病気は治せないということ。また、病気の予防もできないということです。

糖尿病を専門に扱う糖尿病学会でさえ、食事内容の50-60%は糖質摂取を推奨しています。けれど、糖尿病の原因は糖質の過剰摂取です。その根本の原因に目を向けず、全く真逆の方向の治療をしていて、病気は治るのでしょうか。そして、インスリンで血糖値を下げる治療をします。糖尿病で怖いのは、腎症や網膜症や末端の神経障害などです。これはインスリンによる薬害であることがわかっています。糖質を摂取し、血糖値が上がる。インスリンで極端に血糖値を下げ、下がり過ぎた血糖値を甘い糖質を含んだ食事で再び上げる。現状の正統な医学に従うことは、真逆の治療をしていることを意味しています。つまり、普通に病院にいって医者にかかると、病気を治すどころか悪化させる治療をさせられている可能性があるのです。

医者の指導も大切ですが、
それだけに頼らない意識も大切です。
健康リテラシーを高めましょう。

もちろん、全ての医者がそうだとは言いません。ですが、大抵の場合、医者は各学会のガイドラインというものに沿って標準的な治療を行います。医者はある意味、真面目にガイドラインに従い、真摯に患者さんの治療にあたっているのです。だから、必ずしも責められません。ですが、どんな治療を選ぶかは患者側にあります。最終的には、患者のリテラシーにかかっています。

つまり、病気の本質を見極め、何が原因で病気が起こってしまったのかを自ら調べて、自分でその病気を治すための治療を選択する。病院に行き、医者に診てもらうこと自体は悪いことではありません。ただ医者にかかると同時に患者本人もどうして病気を引き起こしたかに真剣に向き合い、その解決法を考えることが必要なのです。要は、丸投げをせずに、自分の頭で考える。これだけで選択肢を増やすことができます。

糖尿病に限らず、上記に挙げた病気の主な原因の一つは、糖質の過剰摂取に原因にあると考えられています。もちろん、先天的な異常などレアなケースもあるかと思いますが、根本的には糖質のコントロール、すなわち食事内容の改善を自分自身でしなければ、病気からの回復を見込むのは相当困難なことなのです。

人間の体の構成成分は、55-65%は水です。水を除いて15-20%がタンパク質、そして、15-20%が脂質です。糖質はわずか1%しかありません。また、体内の糖質が不足した場合でも人間は糖新生という仕組みを使って、タンパク質や脂質から糖質を作り出すことができます。

人体の構成成分(糖質はわずか1%)

また、人類の長い歴史の中で、糖質を多く摂り出したのは、穀物の栽培が始まった縄文時代後期から弥生期あたりと言われています。人類が誕生して約700万年のうちのせいぜい1万年程度です。糖質を全くとっていなかった訳ではなく、木ノ実や果実や塊根という木の根っこに含まれるわずかな糖質をとっていたと言われます。果実と言っても今でいう甘みや糖度のある果物ではなく、野菜に近いものです。ですが、基本的には糖質はそう簡単に摂ることができませんでした。人類の歴史のほとんどは狩猟採集をする生活で、動物や魚・貝類などを獲得して食べていました。ですが、糖質同様に、現代の豊食の時代に比べ、そういつでも食事を得られていたわけでもありません。

歴史上、人類は狩猟採集で生活をしてきた。

人類の長い歴史の中で、糖質を摂取しなかった期間の方がはるかに長く、実は、人間の体は本来糖質をあまり必要としない仕組みだったのです。その過程の中で、当時は貴重であった糖質を摂取すると筋肉や脂肪細胞に溜め込んでエネルギーとして蓄える仕組みを持ったとも考えられています。

糖質はタンパク質や遊離脂肪酸など様々なものと結合して害をもたらします。血液検査の項目にHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)があります。これは血糖値と併せて糖尿病の診断の指標として使われます。HbA1cはヘモグロビンに糖が結合したものです。ヘモグロビンは鉄と結合したタンパク質です。つまり、HbA1cは糖化したタンパク質です。これはアミドリ化合物の一つです。

糖尿病診断の指標HbA1cとは

HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)=ヘモグロビン+糖
                 =タンパク質(+鉄)+糖

学会の偉い立場にある方々や白衣を着た医者が最もらしく言うと、それが全て正しいと思ってしまうかもしれません。科学的証拠だと言うと、思わず立ちすくんでしまうかもしれません。けれど、エビデンスと言う魔法の言葉に騙されてはいけません。マウスなどの動物実験の結果がそのまま人間の体に当てはまるとは限りません。人間の摂取量に換算したら、到底摂取しないであろう高容量で実験等が行われ、それを論拠とされることもあります。また、統計的なデータは解釈次第でいかようにも表現できます。そして、にわかには信じがたい話ですが、大学の医局や学会のスポンサーの多くが製薬会社です。特定の薬剤が効果のあるかのごとくデータを操ることはいくらでもでき、それを指摘する人もいます。

エビデンス主義は、単なる権威主義に過ぎません。科学的というもっともらしい根拠を提示を求める人やそれに影響を受けてしまう人。どちらも病気が治らない人の典型です。そういった人に限って、パンやラーメン、パスタにスイーツなど食べながら、一方で病気が治らないと嘆いたりしていませんか。

学会お墨付きのエビデンスがバッチリだけど、誰一人も治さない治療法と、科学的なエビデンスはないけれど、人を一人でも救ったことのある治療法。あなたは、どちらを選びますか。エビデンスが人を治療するのではなく、何か根本的な治療法があってそれをやって実際に病気が治癒すること。この治ったという事実こそが、エビデンスなのです。

エビデンスという言葉に惑わされない

多くの病気の根本的な解決は食事にあります。食を正さなければ絶対に治りません。薬を飲んでも治りません。病院に行って医療を受けても治りません。これは事実です。

現代の慢性疾患の多くが食事に起因していることことは明白なのに、そこにフォーカスしている医療がどれほどあるでしょうか。逆に言うと、食事が原因ということは、それを正せば、自分でも病気を治せるということです。

病気の人は、複数の慢性疾患を抱えている人が多いと思いませんか。そして、その原因が同じであれば、そこを正せば、抱えているいくつもの疾患が同時に治っていくのです。

ただ難しいのは、それがなかなか伝わらない。食事を改善しない。すぐ薬剤に頼る。自分で調べない。自分の健康を他者に丸投げする。そうして、ますます体は言うことを聞かず、辛い状況が続き、病気を悪化させてはただ嘆いてしまうのです。

圧倒的な矛盾の中から抜け出せないその原因はどこにあるのか。いつもそれを考えますが、唯一確かなことは自分は誰も救えないということ。情報が溢れて結局何が正しいか。ますます見抜けない時代になっています。結局は、真実を見抜いて自分で気付くしかありません。常識にとらわれず、自分の健康管理を自分自身で行いましょう。

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りゅう栄養大好き人間
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