MCTオイルとは、中鎖脂肪酸を含むオイルのことです。人間が活動するためのエネルギーは、糖質もしくは、脂質から作られます。瞬発的なエネルギーを使うには糖質はとても有効ですが、過剰な糖質摂取はさまざまな病気を引き起こします。
人間の身体は、飢餓等に耐えるため、糖代謝以外にも脂質代謝という代謝経路を持っています。その代謝では、肝臓で脂質を原料として作られるケトン体というものが生成されます。実は胎児や新生児は、ケトン体をエネルギー源として使っています。糖質と違って、このエネルギーは身体の中で効率よく産生され、悪影響を及ぼしません。脳のエネルギー源は糖質だと言われ、頭をつかったら甘いものが欲しくなるとか言われます。ですが、ケトン体も血液脳関門を通過することができ、脳はケトン体をエネルギーとして利用することができます。そもそも脳は60%が脂質からできています。
また、ケトン体の健康効果が明らかになっています。ガンや糖尿病などのはじめ、ケトン体質になることで健康維持や病気の予防、病気からの治癒が期待されます。脳もケトン体を使うことができることから、認知症やパーキンソン病などにも有効と言われています。すなわち、糖質過剰摂取を控えて、脂質を多く取り、ケトン体を作り出せる身体になることで多くの健康上のアドバンテージが得られます。
初めてケトン体という言葉を聞いたのは、『ケトン体が人類を救う~糖質制限でなぜ健康になるのか~』という本です。著者は産婦人科医の宗田哲男先生の本です。上記の胎児や新生児がケトン体をエネルギーにしているということも宗田先生の本で知りました。多くの妊娠糖尿病と診断された方を適切なお産に導き、妊婦さんと赤ちゃんを救ってきた先生でもあります。
ケトン体を産生するには、まず、糖質の摂取を制限しなければいけません。実は順番的にはエネルギーはまず糖質を燃焼させて作られます。それが枯渇した後に脂質代謝が稼働し始めます。つまり、糖質がなくなった後には脂質が必要です。そこで効率よく脂質を摂取するためにMCTオイルが登場します。
MCTとは、Medium Chain Triglycerideの略です。日本語でいうと中鎖脂肪酸です。中鎖脂肪酸は、ココナッツオイルやパーム核油などに含まれます。母乳や牛乳にも含まれます。中鎖脂肪酸の含まれる割合は、ココナッツオイルで約60%、パーム核油で約50%です。MCTオイルはこれらのオイルを精製して100%中鎖脂肪酸であるオイルのことを言います。オリーブオイルや大豆油などの植物油やバターやラードなどの動物性油脂は、長鎖脂肪酸です。長鎖、中鎖というのは、脂肪酸の長さが違います。具体的には構成する炭素数が違い、炭素数が12以上ものが長鎖脂肪酸、炭素数が6−12のものが中鎖脂肪酸に分類されます。中鎖脂肪酸は分子量が長鎖脂肪酸の半分くらいであるため、消化吸収が早く、門脈を通って直接肝臓に運ばれます。中鎖脂肪酸は、早くエネルギー源となり、脂肪として蓄積される割合も少ないという利点があります。
実際にMCTオイルをどう使うかですが、私が一番多く使うシーンは、バターコーヒーと味噌汁です。バターコーヒーの場合は、ブラックコヒーにミルクとバターと一緒にMCTオイルを小さじ1杯ほど入れます。味噌汁の場合も同様に、お椀に味噌汁を入れた後に小さじ1杯入れて食べます。油がプカプカと浮かんでいる様子はありますが、味覚の変化はないので、何も気にせずに摂取できます。私が使っているMCTオイルは、以下の『仙台勝山館MCTオイル360g(ココナッツ由来100%・中鎖脂肪酸)』です。
体感的には、朝、バターコーヒーや味噌汁と一緒に飲むと便通がとてもよくなります。便秘になりようがないくらい朝のお通じが快適になります。MCTオイルをスプーンで直接飲んでも良いですが、これだと下痢に近い状態でトイレに行くことになるので、食事の中に取り入れると良いと思います。
脂質を元にして作られるエネルギーは持続性があるため、MCTオイルを摂取すると一日が終わる頃になってもあまり疲れを感じず普段より体力が続いている気がします。もちろん個人差はあるかと思います。これは糖質制限とセットで威力を発揮します。当然、糖質の摂取は控えないといけません。いわゆるケトジェニックダイエットとも言われたりします。
実際にやってみると健康効果が高いことが実感できます。特にすでに何かの体調不良を抱えている人には、糖質制限+MCTオイルは一度試してみる価値はあると思います。今現在は健康な方も、こういった食事により効率よくエネルギーが産生でき、糖質による弊害が避けられる可能性がありますので、ぜひ機会があれば試してみるとよいと思います。
バターコーヒーの作り方は、ブラックコーヒーにバター、生クリーム、MCTオイルを入れてよくかき混ぜます。とても簡単ですが、素材には最良のモノを使いましょう。バターは牧草牛から作られたグラスフェッド、生クリームは動物性脂肪を使うと良いでしょう。
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