葉酸

葉酸

葉酸は水溶性ビタミンでビタミンB群の一つです。化学名でプロテイルグルタミン酸とも呼ばれます。葉酸は、プリテジンとパラアミノ安息香酸とグルタミン酸からできています。ほうれん草の葉から発見されました。

葉酸は、野菜や海藻類、豆類などに多く含まれ、肉や魚には含まれません。葉酸は体内で還元されるとジヒドロ葉酸となり、その後、テトラヒドロ葉酸となって補酵素として働きます。

葉酸は、核酸であるDNAやRNAの生合成、タンパク質の生合成に関与したり、ビタミンB12と協力して赤血球を作ります。葉酸は細胞の分裂や再生など細胞増殖に関与します。このため、妊娠初期の胎児が成長するためには必要不可欠の栄養素です。

妊娠4週目までの初期に葉酸が不足すると新生児の無能症や二分脊椎症といった神経管閉鎖障害が起こります。そのほか葉酸の摂取は、胎盤早期剥離や流産などのリスクも下げることがわかっています。

葉酸は妊娠初期には最重要の栄養素の一つ。
妊娠初期に葉酸不足が起こると新生児に障害が起こる可能性があります。

葉酸が不足すると、DNAの生合成に支障が生じ、細胞増殖ができなくなります。細胞の増殖が活発な骨髄や内蔵粘膜などでは障害が起こりやすくなります。赤血球が生合成できなくなったり貧血が起こったり、口内炎、舌炎、胃酸分泌低下などの粘膜機能が低下します。

葉酸は、神経伝達物質の生合成に関与します。チロシンからドーパミン(ビタミンB1とB6)、トリプトファンからセロトニンを代謝する際に葉酸は必要です。

神経伝達物質を生成する上流の過程から葉酸は必要となる。
葉酸が不足するとセロトニン、メラトニンの合成が上手くいかない

葉酸は脳の神経細胞内のリン脂質を修復します。神経細胞はリン脂質で保護されていますが、活性酸素で破壊されそうなとき、葉酸がタンパク質と結合して脳細胞内に運ばれ、リン脂質を保護します。葉酸は、脳を健康に保ったり、鬱や認知症などの予防として働きます。

葉酸が不足すると、高ホモシステイン血症となります。葉酸だけでなく、ビタミンB12、ビタミンB6の不足と合わせて血中のホモシステイン濃度が高くなります。葉酸とビタミンB12はホモシステインからメチオニンへの代謝、ビタミンB6はホモシステインからシステインへの代謝に関わります。

これらが不足すると代謝が滞り、ホモシステイン値が高くなります。ホモシステインは血管の主成分であるコラーゲンの質を低下させます。血管が柔軟性を失うと動脈硬化や心血管障害を引き起こすリスクがあります。また、葉酸は痛風や関節炎を予防します。

葉酸が不足するとホモシステイン濃度が上昇する

葉酸は、他のビタミンB群と同様に一緒に取ることで効果が発揮されます。特に葉酸は、ビタミンB12と相互に協力して作用します。また、葉酸は、ビタミンB6とビタミンCも必要とします。ビタミンCは葉酸を活性化します。

葉酸はビタミンB6、ビタミンB12と同じく、腸内細菌によっても生成されます。このため腸内細菌を正常に保つことは、ビタミンB群をサプリメントで摂取するのと同じくらい大切です。

参考:新・栄養医学ガイドブック (サプリがもたらす健康の回復)柏崎 良子 (著) / サプリメントで病気になる!サプリメントで病気を治す! ビタミン・ミネラル編―あなたのサプリメント選びは間違っている!八藤 真 (著) / アスリートのための最新栄養学(下)山本義徳 (著)

アスリートのための最新栄養学(下) ペーパーバック – 2017/9/9
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